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「あなたもマジックができる」というけれど...

たまには AppleScript とは違う話題などを。iPhone アプリあなたもマジックができるについて。まぁ、iPhone アプリのことですが、マジックに関することを少し。殴り書きですが。

実は、買うつもりはなかったのです...。

AppBank さんのレビュー([iPad, iPhone] あなたもマジックができる: 誰でも手品がマスターできる!1460)を見てから、App Store でレビューを見ていてボタンを押し間違えてしまいました。

せっかく買ったのですからレビューと思ったのですが、読み返してみてレビューというより、問題提起、疑問の提示みたいになってしまいました。

このアプリのレビューを書いているサイトは AppBank さんを始め、いくつかあり、おおむね高評価なのですが、それらとは全く違うレビューになります。たまたま、少しマジックのことを知っているので、レビューというより批判です。

ところで、こういったアプリ(基本的には動画を表示するだけのアプリ。アプリというより、こんなもの Web ページでもいいでしょ、わざわざアプリにする必要ないでしょ)のレビューはどこまで内容に突っ込んでいいのでしょうか。このようなアプリだけではなく、例えば、電子書籍のようなもの。最近、読んだものでは iPhoneとツイッターは、なぜ成功したのか?。

こういうものって内容のレビューをすればいいのでしょうか。それとも、アプリの使い勝手をレビューすればいいのでしょうか。アプリの使い勝手ということでいえば、両者とも最低です。なぜ、iPhone や Twitter の使い心地を論じている書籍のアプリがあれほど使いにくいのかがいまだに分かりません。

どうして、誰も使いにくいって言わないのだろう。

iPhoneとツイッターは、なぜ成功したのか?のレビューではないので多くは書きませんが、どうして、林信行さんがあの内容であのアプリを承諾したのかが理解できません。あの内容なら、ぜひ、こだわってほしかったです。使い勝手に。

あれじゃ、書籍をそのまま流し込んだだけじゃないの?一つ言うなら、時々、注釈が入るのだけど、その注釈は注釈の説明に移動するリンクが張られているのだけど、その注釈の説明はおおむね、章の最後に記述されている。多くの書籍はそのようになっていますし、このアプリでも踏襲されています。

問題は、書籍と同じ構成のため、ページをめくっていくと再度同じ注釈に出くわすということです。こんなもの、飛ばせよ。一度、見たのだから。断言するけど、これは書籍のデータをそのまま流し込んだだけ。iPhone には iPhone の見え方、見せ方があるでしょ。これだけのことで内容は良くても、読む気はなくなってしまいます(特に内容が内容なだけに)。

似たようなことはあなたもマジックができるにも言えます。マジックの手順の説明は 1, 2, 3...と番号順に進んでいくのですが、時々、他のマジックの手順 5 を参照してちょうだい、みたいなことが書かれている。書かれているのだけど、そこに移動するリンクはない。当然、参照して戻るためのリンクもない。

えっとね。マジック入門のようなアプリを作っているんでしょ。いってみれば、専門書。それが、なんでこういうところの使い勝手が悪いの?

マジックに関する書籍で一番面倒なのは、いろんなページに行ったり来たりしなければならないこと。アプリなんだし、相互参照ぐらい簡単でしょ。たとえ、それが動画でも。

iPhone や iPad などのモバイルアプリや電子書籍はまだまだ混沌とした状況だから玉石混淆...というのは分かります。しかし、手を抜いているようにしか見えないこれらの問題は必ず自分たちの首を絞めます(もちろん、真っ先にレビューしなければいけないはずのマジシャンの首もね)。

そして、これはあなたもマジックができるのレビューを掲載しているいくつかのサイトの問題でしょうけど、ほんとに買ったの?ほんとに買って中身を見てみたなら腹がたったと思うのですが、そういうレビューは見かけない。レビューを書くなら、いいところだけではなく、悪いところも書いてください。

で、なんで腹がたったかというと、解説の文章がアマチュア以下だから。少なくとも金をとって、マジックの演技をし、解説しているのなら、プロ根性を見せろと言いたい(マジックで演技を見せ、なんらかの報酬を得ればその人はプロです。本人の意思に関係なく。また、文章を書いて金をとっているのでしょ。もう少し、まともな文章を書いてください)。

で、内容なのですが...。

評価は分かれるでしょうね。おそらく、全くマジックをしたことのない初心者やマジックに興味のある人には、手頃な値段ということもあって受け入れられるでしょう。内容も数だけはありますし。

いわゆるマニアには酷評されるでしょう。紹介されているマジックが初心者向きだからではありません。作品のクレジットもなければ、誰が演じているのかも分からない。何を見せたいのかも分からなければ、パズルだけを紹介しているその姿勢(あの実演動画はいったいなにが不思議なのか?ビックリ箱としての驚きはあるでしょうが、それだけです)ゆえに。

客観的に見るなら、少しマジックをかじったことのある人が、小銭を稼ぐためにマジックの知識を切り売りしている...といった感じがします。

個人的には情報商材かよ、という気がします。

マジックをしたことがなく、マジックに興味ある、覚えたい、という人にはお勧めできるか?

マジックをすることはないけど、興味本位で見てみたいというだけなら購入されてもいいのでは?満足感は得られるでしょう。

意欲がある人には、お勧めしません。意欲がある人には初期投資が高くついても、書籍をお勧めします。英語でも構わないなら、Magic: The Complete Course (Book & DVD)。日本語でなら、華麗に決める本格マジック。どちらも DVD で一流のマジシャンによる演技、解説が見られます。

でも...こういうアプリってこれから増えるんだろうな。

収録されているマジックは以下になります。といっても、現象を書くと分かる人には分かってしまうので詳しく書くことはできません。

  1. 混沌な予言
  2. 4エース出現
  3. コイン移動
  4. 予想外のカード当て
  5. コイン消失
  6. ティッシュの復活
  7. 不思議な予言
  8. コイン貫通
  9. ミックスアップ
  10. 恋人の出会い

ところで、マジックで一番大事なものって何でしょうか。

それは、「マジックでなにを見せるか、なにを言いたいか、なにを表現したいか」だと思います。ごくごく当たり前のことを書けば、マジックなんてタネさえ知れば誰にでもできます。しかし、タネを知り Mr.マリックがやっていることと同じことをしても、同じように万雷の拍手を得ることはできません。Mr.マリックにはマジックを使って表現したいことがあります。マジックを使って伝えたいことがあります。

マジックというのはただの道具です。それ自体は面白くもなんともありません。面白くなるかどうか...人に感銘を与えるかどうかは、演技者が道具をどう扱うかにかかっています。

残念ながらあなたもマジックができるには「伝えたいこと」も「表現したいこと」も「自己主張」もありません。あったのかもしれませんが、伝わってきませんでした。どちらかというとマジックのタネ教えます、といった暴露サイトと同じレベルです。

もし、このアプリケーションの作成者がマジシャンを増やしたい、マジシャンの蒙を啓きたいと思ってこのアプリを作ったのだとしたら、やり方が間違っています。もっと、丁寧に作ってください。