いまさら感がありありなのですが、AppleScriptObjC。通称、ASOC。Mac OS X 10.6 Snow Leopard とともに紹介されたので、既に登場から 1 年以上経っているわけですが。そろそろ、資料も揃ったことだろうとネット上を検索してみるが...これがなんとも少ない。
困ったものです。
日本で AppleScriptObjC をキャッチアップしているのは唯一ぴよまるソフトウェアさんぐらいしか見当たりません。
...困ったものです。とりあえず、Mac OS X Automation で公開されているチュートリアル動画を参考にいくつかアプリケーションを作ってみました。
アプリケーションを作っているときに気がついたことを箇条書きで書いていきます。
- ASOC でアプリケーションを作るのは、Cocoa/Objective-C でアプリケーションを作るのと同じ。
- AppleScript Studio とは異なる。
- AppleScript の知識より Cocoa/Objective-C の知識が必要。
- ASOC は、Cocoa/Objective-C でアプリケーションを作成したことがあるなら、すぐに理解できる(と思う)。
- ASS アプリケーションを ASOC にそのまま移植するのは難しい。
- 逆に Cocoa/Objective-C アプリケーションを ASOC に移植するのが簡単かというと、諸般の事情により一筋縄にはいかない。
- ASOC は Cocoa の機能を全て利用できる...といったことを言われるが、そんなことはない。現状では利用できないものも多々ある。例えば、モーダルダイアログは利用できるが、シートは利用できない。
次にプログラムを書いているときに気がついたことなど。
- ASOC のプロジェクトには登録されてるファイルはアプリケーションのデリゲートとして登録されている。
- ASOC のクラスはヘッダファイル(.h)と実装ファイル(.m)がない。
- ASOC のクラスは一つのスクリプトファイル(というより、スクリプトオブジェクト)で定義する。
- スクリプトオブジェクト = クラスなので、一つのスクリプトファイルで複数のクラスを定義できる。
- 継承は AppleScript の parent 属性を利用する。
- テンプレートでは parent に NSObject が指定されているが、実はなくてもいい。スーパークラスに NSObject が密かに指定されている...みたい(継承をたどっていくと BAGenericObject に突き当たる)。
- 親の指定がされていない AppleScript のスクリプトオブジェクトを継承元に指定することができる。
- 継承元が指定されていない AppleScript のスクリプトオブジェクトをクラスとして扱うことができる。
- 継承元が指定されていない AppleScript のスクリプトオブジェクトをクラスとして扱えば、クラスとして振る舞う。AppleScript のスクリプトオブジェクトとして扱えば、スクリプトオブジェクトとして振る舞う。
- クラスで利用する変数(クラス変数やインスタンス変数)は AppleScript の property で定義する。
- クラスのメソッドは AppleScript のハンドラで定義する。
- Objective-C のメソッドはコロンで引数を表すが、ASOC ではアンダースコアで表す。drawRect: は drawRect_ になる。
- このため ASOC 内でメソッドを定義した時、引数の数だけアンダースコアが必要になる。2 つの引数を取る append(x, y) があったとする。これは、ASOC のクラス内では appendWithX_andY_(x,y) といった形になる。Objective-C でメソッドを定義するのと同じだ。
- メソッドの返り値や引数に型の指定はない。
- Objective-C に用意されているメソッドの中には AppleScript で予約されているものがある。set や center 等。それらのメソッドを利用するには | でメソッドを囲む。
- クラス内で他のクラスを利用するには、そのクラスを property を利用して参照する。
- クラス(スクリプトオブジェクト)定義の外でハンドラを定義しても利用できない。Objective-C の関数のようなことはできない。
- スーパークラスのメソッドは、continue を使って呼び出す。
- NSRect や NSSize、NSPoint 等は AppleScript のレコードで定義できる。
- 引数に NSArrayを取る Objective-C のメソッドには AppleScript の list クラスを渡すことができる。
- 引数に NSDictionary を取る Objective-C のメソッドには AppleScript の record クラスを渡すことができる。
- NSString と AppleScript の text は同じではない。引数に NSString を取る Objective-C のメソッドには AppleScript の text クラスを渡すことができる。が、NSString を AppleScript で利用するには型変換が必要(な時がある)。
- Objective-C のメソッドは ASOC で利用できるが、簡易に利用するために用意されている関数群(NSMakeRect() や NSLog())等は、ASOC では利用できない。
- NSTimer や通知などに利用するセレクタは文字列で指定する。その際、引数はコロンで表す。アンダースコアではない。
- Objective-C の nil は AppleScript の missing value で代用。
- path to me は利用できない。ASOC では me は自身のクラスを表す。
- ASOC は既存の AppleScript の言語仕様を拡張しているわけではない。利用できるのは AppleScript 言語のみ。これが、いくつかの面倒を引き起こす。例えば、論理積や論理和を取りたいとき。C 言語の & や | は利用できない。
- ASOC で Objective-C のカテゴリやプロトコルを定義することはできない。
と、思いつくままに羅列。読んだだけでは意味が分からないものもあると思いますが、細かいことはまた次回。
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