Google から Google の各種サービスをコマンドラインから操作できるツール(GoogleCL)が出たようで、さっそく試してみました。
とりあえず、インストールした環境などを...。
- Mac OS X 10.6.4
- Python 2.6.1(Mac OS X にインストールされているもの)
- gdata 2.0.10
python や Google Data API は、日常的に利用しているので環境が整っているのだけど、そうでないと Python から利用できる Google Data API(gdata)のライブラリのインストールから始める必要があります。Python が必須ですが、これは Mac OS X に最初から入っているもので構いません。
Python は必要だけど、GoogleCL を利用するために Python の知識はとりあえず必要ありません。Python は GoogleCL が背後で利用しているだけです。
gdata for python のインストール
以前のことなので詳細は忘れてしまいましたが...まず、gdata-python-client - Project Hosting on Google Code から gdata-2.0.10.tar.gz(2010年6月19日現在)をダウンロードします。
gdata を利用するには ElementTree というパッケージが必要なのですが、Mac OS X 10.6 にインストールされている python には既に ElementTree が入っているため、ElementTree をインストールする必要はありません。
以降、Terminal での作業になります。
Terminal を起動し、gdata-2.0.10.tar.gz のある場所に移動します。
$ tar zxvf gdata-2.0.10.tar.gz
$ cd gdata-2.0.10/
$ sudo python setup.py install
これで Python 用の gdata ライブラリがインストールされます。
gdata さえあれば、Google の各種サービスを Python で利用することができるのですが、GoogleCL は gdata を意識せずに Terminal から Google の各種サービスを利用できるようになります。
直接 Python から gdata を利用するより処理は制限されますが、GoogleCL は gdata を実際に利用するより、気楽に利用できます。
GoogleCL のインストール
googlecl - Project Hosting on Google Code から googlecl-0.9.5.tar.gz(2010年6月19日現在)をダウンロードします。
以降、Terminal での作業になります。
Terminal を起動し、googlecl-0.9.5.tar.gz のある場所に移動します。
$ tar zxvf googlecl-0.9.5.tar.gz
$ cd googlecl-0.9.5/
$ sudo python setup.py install
以上で GoogleCL を利用するためのライブラリはインストールできました。
実際に使ってみる
GoogleCL は、Terminal から利用します。最初にヘルプを参照しておくといいと思います。
$ google -h
コマンドラインからの利用は以下のようになります。
google [picasa|blogger|youtube|docs|contacts|calendar] TASK [options]
コマンド名の後に利用するサービス、その後に行う処理、最後にオプションを記述します。単純にコマンド名だけを入力すると、対話モードに移行します。
$ google[return] # 対話モードへ
> picasa list title
headerbg-1.png
sidebarbg.png
postbg.png
...
> ^D # 終了(Control-D)
サービスにより利用できるタスクとオプションは異なります。この辺りのことはヘルプに詳しいです。
では、Blogger サイトのリストを取得してみます。
$ google blogger list
Terminal で上記のコマンドを実行すると、ユーザー名を尋ねられます。blogger で利用しているユーザー名(Google アカウントのメールアドレスの @ の前の部分。もしくは、メールアドレス)を入力します。
すると、OAuth による認証を促されます。
Please log in and/or grant access vis your browser at...の後に https で始まる URL が表示されると思います。この URL をコピーし、Safari などのブラウザでアクセスします。
ブラウザで認証を行った後、Terminal に戻り、Enter(Return)キーを押すと、Blogger での記事タイトル一覧と URL が取得できます。認証に失敗すると Failed to get valid access token! と表示されて、処理は終了します。
各サービスは初回実行時にのみ認証を求めます。この認証を行っておくと、以降の操作では認証は必要ありません。
設定ファイル
GoogleCL のインストールが完了すると、ユーザーのホームディレクトリに googlecl という Finder で表示されない非表示のディレクトリが作成されます。
$ open ~/.googlecl
このディレクトリの中に config というファイルがおさめられています。これはテキストファイルで GoogleCL で利用する各種設定が記述されています。この設定ファイルの説明は googlecl-0.9.5(googlecl-0.9.5.ter.gz を解凍したディレクトリ)にある README.config に記述されています。
各サービスにアクセスし、認証を行うとこの設定ファイルにユーザー名が保存されます。また、OAuth で行った認証もこのディレクトリに保存されます。
一度、ユーザー名を入力し、認証が行われると、次回からはそれらの入力は不要になります。別のユーザー名でログインを行いたい場合は、-u オプションを使うことで別のユーザーでログインすることができます。
$ google blogger list -u ユーザー名
設定ファイルはセクションに分割されており、各設定はキーと値のペアで記述されます。セクションは [GENERAL] といった感じで角括弧で囲まれており、直前のセクションとは空行で分割されます。例えば、以下のようになります。
[GENERAL]
regex = True
...
[CONTACTS]
list_style = title,email
regex がキーで True が値になります。このキーは -n(--title) オプションを指定するときに正規表現の使用を許可します。
$ google blogger list title --title=^WWDC # WWDC で始まるタイトルを表示
WWDC のサンプル
GENERAL セクションはすべてのサービスで利用する設定を記述しておく場所です。その他、各サービスごとにセクションは作成されます。
各サービスで利用できるタスクに list があります。これは各サービスの一覧(例えば、Google Docs のファイルの一覧や Blogger のブログタイトルの一覧など)を表示するタスクです。このタスクはオプションとして表示する項目を指定することができます。
例えば、blogger のタイトルと URL を表示させたいなら次のようになります。
$ google blogger list title,url-direct
list の後で title,url-direct と指定してしていますが、この表示する項目の指定を list_style と言います。
設定ファイルには GENERAL セクションでデフォルトの表示設定が次のように指定されています。
[GENERAL]
list_style = title,url-site
list タスクで list_style を指定しない場合、この設定を利用します。一方、Contacts セクションでは list_style は次のように設定されています。
[CONTACTS]
list_style = title,email
このサービスを利用するときはこちらの設定が優先されます。list_style の指定は、各項目を , で区切ります。各項目の間に空白を入れてはいけません。各サービスにより利用できる項目は異なります。詳しくは README.txt に書かれているので参照してみてください。
AppleScript からの利用
do shell script で利用できます。ただし、デフォルトでは google コマンドが /usr/local/bin にインストールされるため、絶対パスを利用します(インストール場所を変更しているときは適宜修正してください)。
do shell script "/usr/local/bin/google blogger list"
Automator からの利用
AppleScript の do shell script から利用できるということは Automator からでも利用できるということです。
コマンドラインから Picasa に画像をアップロードするには次のようにします。
$ google picasa post --title='アルバムの名前' *.jpg
--title オプションで指定するのは既存のアルバムの名称です。上記のコマンドを実行すると、カレントディレクトリ内にある拡張子 jpg のファイルをすべて指定のアルバムにアップロードします。
このとき注意しないといけないのはアルバムの名前です。アルバムの名前の一部が重複しているとアルバムを選択する必要があります。Picasa に「Summer 2008」、「Summer 2008」という名前のアルバムが既に存在し、次のコマンドを実行すると、どちらのアルバムかを確認するために入力を求められます。
$ google picasa post --title='Summer' *.jpg
More than one match for title Summer
0) Summer 2008
1) Summer 2008
Please select one of the items by number: 1 # 数値を指定し、enter
つまり、アルバムの指定をこのように行っていると AppleScript や Automator などからでは実行できないのです(AppleScript や Automator などからでは数値の入力ができないため)。アルバムの名称は一意のものにしておくのが無難です。
一例として Finder の選択項目を Picasa にアップロードする Automator サービスを。このサービスでは「AppleScript を実行」アクションを利用します。「AppleScript を実行」アクションに以下のコードを記述します。
-- アップロード先(Picasa ウェブアルバムで作成したアルバムの名前)
property album : "ALBUM_NAME"
-- アップロードの対象とするファイルの拡張子
property file_extensions : {"png", "jpg", "jpeg", "tiff", "tif"}
on run {input, parameters}
if input is {} or input is {""} then
error -128 -- 終了
end if
tell application "Finder"
set file_list to {}
repeat with this_item in input
if name extension of this_item is in file_extensions then
set end of file_list to quoted form of (POSIX path of (this_item))
end if
end repeat
end tell
if file_list is {} then
--ファイルがない場合、終了
error -128
end if
set AppleScript's text item delimiters to space
set file_list to file_list as text
set AppleScript's text item delimiters to {""}
set the_command to "/usr/local/bin/google picasa post --title="
set the_command to the_command & quoted form of album & space
set the_command to the_command & file_list
do shell script the_command
return file_list
end run
最後に
GoogleCL のすべては README.txt、README.config および、コマンドのヘルプに記述されています。これらを熟読することをお勧めします。
わざわざ Python から gdata を 直接たたく必要がない分(Python を知らなくても使えるし)、かなり気楽に Google の各種サービスを利用することができます。また、コマンドラインからの利用なので、AppleScript や Automator との組み合わせも簡単です。
反面、利用できないサービスもありますし、利用できたとしても操作には制限があります。この辺りは今後のアップデートに期待しましょう。
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返信削除こちらの記事を参考にさせていただいて私もgooglecl を試してみました。これはいいですね。投稿をアップデートできる blogger task が利用できる ようになる日が楽しみです。
返信削除どうもです。
返信削除個人的にはBloggerの記事はOmniOutlinerで管理し、BloggerへのアップロードはpythonとgdataとScriptingBridgeの組み合わせで行っています。ある意味、技術の無駄遣い...。
GoogleCLは気楽に利用できるので、使い勝手がいいですね。
ScriptingBridgeってAppleScript 関係なのでしょうか?
返信削除私は自作のものを使っていますが(ruby)、PUT request が
GoogleCL から使えるようになったら乗り換えたいところです。
ScriptingBridge は Python や Ruby から Objective-C が利用でき、かつ、AppleScript 対応のアプリケーションを操作することができるフレームワークです。RubyCocoa 入門が参考になるかと思います。
返信削除リンク先みてみます。ありがとうございました。
返信削除あ、RubyOSA のもとになった方の作者の方?かな。